武雄温泉 殿様湯(家族湯)

武雄温泉と呼ばれる温泉地には基本的泉質を異にする二つのエリアがある。国が指定する文化財、楼門が所在する周辺と佐賀県立宇宙科学館が所在する池の内池周辺である。

楼門が構える武雄温泉株式会社には元湯など三つの公衆浴場がある。家族湯も用意されていて、殿様湯、家老湯、鶴、亀、松、桜、つつじがある。訪問時、一部の家族湯は改修中で、殿様湯、家老湯のみが営業中であった。




平日にもかかわらず待つこと40分、殿様湯へ案内された(人気があるようだ)。殿様湯は元湯の浴舎に配置され、入口は浴舎北側にひっそりと構える。扉を開けると土間が続き、その先に紫の暖簾と鍵付きの靴箱が迎える。

左手の狭い階段を上り詰めた右手にあるのが殿様湯の休憩室だ(正面の扉が家老湯)。畳が敷かれた間は広く、宿泊さえできそうだ(もちろん宿泊は不可)。浴室へは畳の間の隅にある扉を開け、その先へ進まなければならない。細い階段を下るとそこが殿様湯である。



脱衣所と浴室は一体化した空間だ。脱衣所には藤の籠が用意され、バンコのような長椅子が置かれている。エアコンで空調は整えられ快適だ。大理石の階段を数段降りれば浴槽だ。
印象的な黒と白の菱形の大理石が目を引く。大理石を触ってみると白と黒で表面処理が異なる。一方の表面はざらつきがあり、一方はなめらかだ。




湯口からは大量の湯が滝のように注がれている。源泉が惜しげもなく注がれている。豪快な眺めだ。当然、浴槽からは大量の湯が木製の淵を越え流れ去る。掛け流しだ。注がれる湯は熱い。夏場にはつらい温度だ。仕方なく湯口の側にある蛇口から水を出す。湯は極弱い塩味を帯びている。無色透明で肌に滑らかさを残す。無臭だ。個性を有しつつ万人に受け入れられる貴重な湯である。



湯上り、畳が敷かれた休憩室でしばらく休んだ。休憩室をはじめ、浴室、廊下などの造りは古いが落ち着く。可能な限り古来の意匠を保とうと努力されているように感じた。


武雄温泉 殿様湯(家族湯)
武雄市武雄町武雄7425
0954(23)2001
第5号源泉 単純温泉 45.3℃
第6号源泉 単純温泉 49.6℃
シャンプー類あり ドライヤーあり
内湯
3800円/60分(平日:3300円/60分)
10:00~23:00
2017/5/23

余談
武雄温泉楼門から南東へ4㎞ほど、歴史の浅い池の内池周辺の温泉エリアは、市が所有する泉源を引き湯している。国土地理院の地形図を見れば、池の内池の南西300m付近に温泉の印が見て取れる。源泉温度が低いため、各施設は加温して提供している。元湯や殿様湯などと印象も異なり至って素直だ。御船山観光ホテルもこちらの泉源から引き湯している。